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「不妊」は意外に多い“待機里親”の無念
~子ども育てたいという想い~

血がつながっていなければ親子になれませんか?

自ら味わった「待機里親」の無念

 私はこれまで、NPO団体を立ち上げ、養子縁組のあっせんに取り組んできました。そこには「小さな子どもを守り、より安心して育っていける新しい生活につなげていきたい」という思いがありましたが、その原動力になったのは私自身の経験でした。

 私もかつて「不妊」に苦しみ、その結果養子を望み、児童相談所や民間のあっせん団体を巡っていました。

 児童相談所には一年間で7、8回通いました。平日の仕事の時間帯を妻とともにやり繰りして通うのは大変でしたが、この章のストーリーで紹介した夫婦と同じく当初は「何とかなるだろう」と楽観的な心持ちでいました。「世の中には恵まれない子どもたちがたくさんいる。そんな子どもの親になりたいと決意したのだから、自分たちは児童相談所にとっても喜ばれるはずだ」と、勝手に思い込んでいたからです。

 ところが、現実は正反対でした。

「あなた方のように子どもを望んでいる方は大勢います。1人の赤ちゃんに対して何百人という方が順番待ちをしているんです。養子縁組の里親を希望しても実現はなかなか難しいので、養育里親になられてはいかがですか? それにはまず児童相談所の養育里親研修を受けて下さいね」

 というのが、児童相談所の職員の反応だったのです。

 児童相談所に薦められた「養育里親」は、あくまで一時的に子どもを預かる制度です。国からの手当などはありますが、「本当の親子」として認められるわけではありません。

 私が望んでいたのは、子どもとの恒久的な親子関係以外のなにものでもありませんでした。それでも職員の方の言葉通りに養育里親研修を受けましたが、結局宣告されたのは、初めの頃にも聞いた「特別養子縁組を希望するご夫婦は大勢います。そう簡単には順番は回ってこないですよ」という言葉だったのです。

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『インターネット赤ちゃんポストが日本を救う』
著者:阪口 源太(著)えらいてんちょう(著)にしかわたく(イラスト)

 

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親の虐待や育児放棄を理由に国で擁護している約4万5000人の児童のうち、現在約7割が児童養護施設で暮らしています。国連の指針によると児童の成育には家庭が不可欠であり、欧米では児童養護施設への入所よりも養子縁組が主流を占めています。

本書ではNPOとしてインターネット赤ちゃんポストを運営し、子どもの幸せを第一に考えた養子縁組を支援してきた著者が国の制度である特別養子縁組を解説。実親との親子関係を解消し、養親の元で新たな成育環境を獲得することができる特別養子縁組の有効性を、マンガと文章のミックスで検証していきます。

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阪口 源太

さかぐち げんた

NPO法人全国おやこ福祉支援センター代表理事

1976年福井県生まれ。NPO法人全国おやこ福祉支援センター代表理事。自ら創業したIT会社を売却後、東日本大震災をきっかけに社会起業家に転身し、NPOを設立。大阪を拠点として、特別養子縁組のサポートに携わる。著書に「産んでくれたら200万円 -特別養子縁組の真実-」(Kindle版)がある。


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  • 阪口 源太
  • 2019.08.02